誘導灯とは、避難口と呼ばれる「直接屋外に避難できる扉」や、避難口に通じる通路に設置する、標識を内蔵した箱型照明器具です。災害や停電などが起こった際、建物にいる人々が出口の場所を把握し、安全に屋外へ避難できるようにする為に設置が義務図けられています。建物から避難できる方向を示したピクトグラム、ピクトグラムを照らす照明器具、停電時でも点灯させるための蓄電池を内蔵しています。非常時に、誘導灯が指し示す方向を辿っていくことで、安全な屋外に避難できるようになります。
誘導灯を設計する場合は、防火対象物の使用者が安全に屋外避難できるよう、消防法に準拠した間隔や大きさを守って配置しなければなりません。誘導灯の設置基準、選定すべきサイズ、表面輝度などが消防法・施行令・施行規則によって厳しく定められているため、法に合致した計画が不可欠になります。
誘導灯は消防法によって定められており、「消防法施行令第26条」と各地方自治体の火災予防条例などによって、劇場・旅館などの人の多く集まる場所に設置が義務づけられています。また設置する誘導灯設置位置や大きさは、消防法によって細かく規定されています。
避難を容易にするために避難口や避難方向を指示するための照明設備のことと説明しましたが、普段は常用電源により点灯し、火災時等による断線や停電などの非常時には自動的に非常電源に切替わり、暗闇でも十分その効果を発揮する照明器具になります。
劇場や映画館、病院、百貨店など、不特定多数が出入りする建物には、誘導灯の設置義務があります。全階に渡って誘導灯を設置しなければなりません。
共同住宅や工場など、不特定ではなく特定の人のみが使用する建物の場合、誘導灯の設置基準が緩和されており、避難困難になりやすい「地階」、消防隊が容易に進入できない「無窓階」、はしご車などでの活動も困難となりやすい「11階以上」の階で、誘導灯を設置しなければならず、事務所や工場など、防火対象物を使用する人が建物の構造や避難経路を理解している場合、特定防火対象物に該当していなければ、避難する方向や避難扉の位置などを十分理解しているものとされ、誘導灯の設置基準が緩和されて、小型の誘導灯が利用できるなどの違いがあります。
ショッピングセンターや劇場・ホテルなど、防火対象物が不特定多数に使用される用途の場合、初めて建物を利用する人も多く、避難する方向を詳しく理解していない事がほとんどです。そこで途の建築物では、「B級」と呼ばれる20cm角の誘導灯を使用しなければならないのですが、10cm角の「C級」と呼ばれる小型誘導灯を主体に設計すると、コスト面や意匠上の負担が軽減されます。
誘導灯は、設置対象となる防火対象物の用途によって、必要になる面積基準が変化する。「特定用途防火対象物」として規定されている建築物は、災害時の被害が大きくなることが予想される建築物であり、大型の誘導灯を求められるなど、厳しい設置基準が規定されています。
小規模の建築物で、居室の各部分から避難口が容易に見渡せ、識別できるような建築物の場合、誘導灯の設置が免除されます。消防法の防火対象物における「無窓階」「地階」ではないことを確認し、建物内の全ての部分から、下記の距離範囲内であれば誘導灯を免除できます。
誘導灯には、避難口を示す為の避難口誘導灯、避難口がどちらの方向にあるかを示す為の通路誘導灯、映画館や、劇場などの客席に取付け、足下が見えるようにする為の客席誘導灯、階段や、傾斜路に設置し、避難時に周りを照らしたり、階数の把握ができるようにする為の階段通路誘導灯があります。
避難口誘導灯・通路誘導灯・客席誘導灯は例外を除き、24時間点灯させる必要があり、階段通路誘導灯は、屋外階段等に設置するタイプですと、日中明るい場合に点灯させないようにするセンサー付の商品もあります。
災害時や、停電などで電力の供給がストップした際も、内蔵のバッテリーや、非常電源からの電力供給で点灯を行うことができるように設計されています。
避難口誘導灯 | 通路誘導灯 | 客席誘導灯 | 階段通路誘導灯 (壁付) |
階段通路誘導灯 (天井付) |
片面形誘導灯は、壁面に取り付けたり、逆方向から見る状況が無い場合(ドアの上付近等に取り付ける等)に使用します。
両面形誘導灯は基本的に天井に取付けをして、両側の方向から見ることがある場合に使用します。
一般的にはT字路や十字路がある廊下や、廊下の途中に階段がある場合などに、両面形の誘導灯を使用します。
一般的に避難口誘導灯(背景が緑色、人が走っている絵が大きく描かれたもの)は、避難する出口のドアの上や、避難用階段のある場所に設置する機器になります。
通路誘導灯(背景が白、矢印が大きく描かれたもの)は、避難口を探す際に、避難口がどの方向にあるか指し示す為の機器となり、廊下などに設置する商品となります。
誘導灯は大きさで等級が設定されており、小 C級→B級(BL形→BH形)→A級 大 に分類されています。
大きな物ほど遠くからでも視認できますので、基本的に部屋等が広いほど大きい物が必要となり、設置場所や施設の用途などによって等級が決まります。
B級には二種類あり、輝度が低いBL形 輝度が高いBH形があります。
従来形誘導灯は現在では生産されておらず、LEDが光源のコンパクトタイプが主流となっています。
既設の従来形誘導灯をお取り替えの際は、コンパクトタイプの高輝度誘導灯に変更頂く必要があります。
等級 | 適合する誘導灯 | |||
---|---|---|---|---|
避難口誘導灯 | 通路誘導灯 | |||
高輝度誘導灯 | 従来型誘導灯 | 高輝度誘導灯 | 従来型誘導灯 | |
A級 | 40形 | 大形(40Wx2タイプ) | 40形 | 大形(40Wx2タイプ) |
B級 BH形 | 20A形 | 特殊大形(40/35/32Wx1タイプ) | 20A形 | 特殊大形(40/35/32Wx1タイプ) |
B級 BL形 | 20B形 | 中形(20Wx1タイプ) | 20B形 | 中形(20Wx1タイプ) |
C級 | 10形 | 小形(10Wx1タイプ) | 10形 | 小形(10Wx1タイプ) |
建物のオーナーや管理者の方は、誘導灯が確実に点灯するかどうかの点検と報告をする必要があります。
誘導灯の交換目安は器具本体が8~10年、蓄電池が4~6年が目安となっております。非常時に備え、寿命を迎えた商品は速やかにリニューアルを実施していただきますようお願いいたします。
オフィスビルやマンションなどの消防点検や建築設備期検査などで、バッテリーに不備があった場合、交換が必要となります。
バッテリーは安いものであれば2000円~3000円、自火報用など高いものは数万円になります。数がまとまるとそれなりの予算になりますので少しでも多く買って点検時のコスト削減をオススメ致します。
また誘導灯や非常灯、警報装置のバッテリー交換は特に資格がないので業者に頼らず交換することも可能です。
誘導灯の読み方は?
「誘導灯」とは、避難出入口等への誘導指示灯のこと。火災時等による断線や停電などの非常時に自動的に非常電源に切替わり、暗闇においてもその効果を十分に発揮する。普段は常用電源により点灯。
誘導灯と非常灯の違いは?
誘導灯と非常灯は、ともに正常時以外を想定し設置する防災照明器具です。誘導灯は初期段階の避難誘導を目的としており、照明器具に耐熱性を求めていません。他方、非常灯は消防隊の救助作業時の照明確保を目的としており、耐熱性と30分間非常点灯させた状態での照度を確保する必要があります。
非常灯の見分け方は?
蛍光灯に点検ヒモがぶら下がっている場合、その器具は非常灯です。ヒモを引くと、バッテリーに切り替わります。点検ヒモを引くと、2灯ある蛍光灯の1灯だけ点灯します。この時、内蔵のバッテリーによって点灯しています。
誘導灯をLEDに変えるメリットは?
・高周波電源装置が不要
誘導灯ではランプ形状が蛍光灯よりも小型に製作でき、長寿命という理由から冷陰極管が使用されてきました。しかし冷陰極管は50Hz~60Hzの商用交流では点灯できず、点灯させるためには専用の高周波電源装置が必要になります。LED誘導灯では高電圧を発生する電源部が不要になるため、全体的にコンパクトな設計になっており、内部の配線スペースが広く配線処理が行いやすくなっています。
・節電効果が期待できる
LED照明は電気を直接光に変換するため、エネルギー消費が大変少ない特性があります。従来の冷陰極管を使用した誘導灯は、4.5W程度の消費電力ですが、LEDを使用した誘導灯では2W程度で同じ明るさを確保することができます。このため消費電力は格段に少なくなりますので、節電効果が期待できます。
・非常時にも長時間点灯が可能
被災時に電源が喪失してしまい、非常灯が蓄電池での駆動に置き換わった場合でも、少ない容量の蓄電池で長期間点灯させ続ける事ができます。これは消費電力が小さいLEDならではのメリットであると言えます。
誘導灯の非常点灯時間は?
誘導灯は通常ものであれば何らかの理由でブレーカが落ち停電した場合20分以上点灯できるように設計されています。しかし大規模施設などでは20分の避難時間では足りず60分以上点灯が可能な容量が必要とされています。
避難口誘導灯の設置基準は?
避難口又は階段に設けるものを除き、各階ごとに、その廊下及び通路の各部分から一の誘導標識までの歩行距離が7.5m以下になる箇所及び曲り角に設けること。多数の目に触れやすく、かつ、採光が識別上十分である箇所に設けること。誘導標識の周囲には、誘導標識とまぎらわしいまたはこれをさえぎる広告物、掲示物等を設けないこと。
いつ設置した年数がわからない
誘導灯器具には設置した年数を記載した「設置年シール」や色分けされた「認定マーク・評定マーク」で交換時期を確認する事ができます。
ランプの交換時期の目安はあるの?
誘導灯のランプや蓄電池は消耗品のため一定期間使用すると交換が必要となります。交換時期については、誘導灯器具に付属しているモニターの点灯状態で異常を確認、判断することができます。
モニターが消灯している場合は、誘導灯ランプは正常な状態ですので、ランプや蓄電池を交換する必要はありません。
モニターが赤に点灯している場合はランプの交換時期のサインで、緑に点灯している場合は蓄電池の交換時期のサインですので、ランプ・蓄電池の交換を行いましょう。
誘導灯ランプの耐用年数は?
・蛍光ランプ10W 6,000時間 約1年半
・蛍光ランプ20W 8,500時間 約2年
・蛍光ランプ40W 12,000時間 約3年
・コンパクト形蛍光ランプ 3,000~6,000時間 約0.7~1年半
・LEDランプ 60,000時間 約14年
※12時間点灯した場合の目安
LEDランプでは、蛍光ランプと比べ大変長寿命である事が分かります。
LEDではランプ交換の頻度が少なく済むため、作業効率も大幅にアップします。
誘導灯のA級とB級の違いは?
B級以上の誘導灯が必要である、という場合にA級とB級が使用可能となります。AとBの違いは、表示面の寸法がAが大きく、表示面が明るくなります。そのため、A級誘導灯を設置する場合、Bを設置するよりも少ない個数になります。誘導灯は等級により歩行距離が異なります。
誘導灯C級の大きさは?
C級:大きさは10cm角、高輝10形、従来型は小形(10W×2)となります。
誘導灯のBL型とBH型の違いは?
器具としての大きさは同じですが、BH形はBL形よりも輝度が高いのが特徴です。またBL形は避難口誘導灯において10cd以上、通路誘導灯において13cd以上となります。なお、BH形は旧基準で大型誘導灯、BL形は旧基準で中型誘導灯とされていたものになります。
誘導灯の互換性は?
誘導灯のB級・BH形(20A形)とB級・BL形(20B形)の適合表示板は共通です。B級:BH形(20A形)とBL形(20B形)は共通で互換性があります。
誘導灯の点検時間は?
誘導灯は20分・非常用照明器具は30分経過後、 非常点灯しているか再び確認してください。充電モニタが点灯しない時および非常点灯が誘導灯は20分・ 非常用照明器具は30分持続しない時は、バッテリー交換など適切な処置をしてください。
誘導灯のチェック方法は?
簡易点検の方法は非常に簡単で、誘導灯についている点灯スイッチにひっかけ棒を引っかけ引いて強制的に点灯させます。この点検では20分間点灯するかを確認するだけです。
避難灯は消防法などにより設置が義務付けられているため、不特定多数の人が多く出入りするような建物には正しく設置しておかなければなりません。避難灯にも種類があり、それぞれの設置する距離も異なります。また、新旧によっても電源や大きさが異なるため、リニューアル時にも設置場所を確認するようにしてください。
70,950円→18,428円(税込)
51,920円→13,484円(税込)
当日~2営業日以内に発送
(※平日16時までのご注文)
18,260円→4,742円(税込)
7,700円→1,999円(税込)
7,700円→1,999円(税込)